消化器官の大腸に発生する大腸がんは、盲腸から結腸、そして直腸を対象とするもので、それぞれ盲腸癌や結腸がんに直腸がんと呼ばれます。場合によっては肛門管のがんも含むので、大腸がんの範囲は非常に広いものです。
発症の原因は主に食生活とされますが、実は肥満体型や運動不足に喫煙の習慣と、様々な要因がリスクを高めています。食事は赤身肉中心の食生活を始めとして、過剰な加工肉の摂取、アルコールの摂り過ぎなどがリスク要因に挙げられます。
また、炎症性腸疾患やクローン病、潰瘍性大腸炎といった病気を抱える人は、それ以外の人と比べて大腸がんの発症率が上がる傾向です。家族性大腸腺腫症や遺伝性非ポリポーシス大腸がんのように、遺伝的に発症リスクが上がることも確認されています。ただし遺伝の割合はそれほど大きくないので、やはり生活習慣が重要だと考えるのが妥当でしょう。ちなみに、大腸がんの多くは良性腫瘍に始まり、ポリープを経てやがてがん化に至ります。
診断には直接的な確認が必要なので、がんの疑いがある場合は大腸内視鏡検査が実施されます。具体的にはサンプルの採取と分析で、これは転移や進行状況を確認するのが目的です。スクリーニング検査は、結腸直腸癌を原因とする死亡の予防に有効とされ、リスクを軽減する為に定期的な検査が推奨されています。定期的なスクリーニングが推奨される年齢は50歳~75歳で、大腸がんのリスクが上がるタイミングで開始することが重要だと考えられます。
大腸がんは世界的な統計からすると、3番目に患者さんが多いがんです。
先進国においては割とポピュラーな病気で、女性に比べて男性の患者さんの方が多数を占めます。毎年100万人のペースで発症者が増加しているので、それだけ治療技術の発展ペースも速いといえます。日本では男女共に死亡原因の上位に位置しますから、誰もがリスクを抱えていて、十分に気をつける必要があると捉えることが大切です。ここまで一般的な疾患となれば、もはや社会現象的な病気と表現できますし、現代人の生活習慣に発症原因が隠れているといえるでしょう。
大腸がんの治療法は内視鏡と外科手術が主流で、ポリープの段階や初期のがんは内視鏡で切除、進行したり転移しているケースでは外科手術が用いられます。先端治療症状が進行した状態で治療を行い、再発予防が必要な場合は、いわゆる化学療法も選択肢に加わります。抗がん剤や分子標的治療薬に放射線療法もありますから、切る以外の方法も多いことが分かります。
がん先端治療としては、免疫機能に働き掛ける免疫治療と、遺伝子の力を借りる遺伝子治療が発展を見せています。免疫治療は、免疫の反応を誘導したり増強を行うもので、意図的に機能を引き出すことで治療効果の発揮を導きます。免疫反応を増強することもありますが、逆に抑制する方向でコントロールすることも可能なので、応用の幅が広いです。薬物療法と比べて、病原体が耐性を獲得したり副作用が生じにくいなど、がん先端治療らしいメリットがあるのが特徴です。
遺伝子治療は、異常な遺伝子で機能不全状態にある細胞に対し、修復や修正を行うことで病気を改善する治療方法です。例えば、治療を目的とした遺伝子情報をウイルスに組み込み、細胞に浸入させることで機能を取り戻します。約30年ほどの臨床試験実績があるので、歴史は決して浅くありませんが、しかしまだ発展途上にあるのが実情です。ところが、医学の発展ペースが上がったことで開発が進み、実用化がもう直ぐそこまできている状況でもあります。既に、限定的にこの治療法が用いられるケースも出てきているので、今後の一般化や普及に期待が掛かります。