腎臓の一番重要な機能は、体内の血液をろ過し老廃物を除去して尿を作り出すことです。この過程で、体に不要な水分と塩分、そして体内の老廃物、代謝物を取り除きます。このようにして作られた尿は、尿管を通り膀胱へ移動した後、尿道を通じて体外へ排出されます。他にも体内の酸性・アルカリ性の維持や、造血に必要なホルモンの生成などを行っています。
腎臓で発生する腫瘍は、腎実質に発生した悪性腫瘍の「腎細胞がん」と、腎盂に発生する「腎盂がん」に区分されます。腎盂がんの発生は約10%程と少なく、一般的に腎臓がんと言うと「腎細胞がん」の事を指します。腎細胞がんと腎盂がんはがんの性質が違うため、治療法も異なります。ここでは腎細胞がんについて説明しています。
腎細胞がんは、固有の症状や所見は無く、他の多くのがんと同じように初期症状はほとんどありません。初期では、他の内科検査や検診で偶然に発覚する場合が多数です。またがんがある程度まで進行しても症状が見られない為、他の臓器に転移した後に発見されるケースも多々あります。
がんが進行すると腹痛があったり、血尿、腹部にしこりが感じられることがあります。他にも体重減少、発熱、足のむくみなどが挙げられます。このような症状がある場合、腎細胞がんがかなり進行している可能性が高くなります。
腎細胞がんの原因は、はっきりとは解明されていませんが、危険因子として大きく環境的な要因と生活習慣、既存の腎疾患、遺伝子的要因などに分けられます。生活習慣と関連するものとして、まず喫煙があります。長期間に渡る過度な喫煙は、腎細胞がんの発生と密接な関係性が見られます。また肥満も同様で、肥満の程度が高まるほど腎細胞がんの危険性が高まります。関係があると見られている既存の腎疾患には、慢性腎不全などがあります。遺伝子的要因には、フォン・ヒッペル・リンドウ病(von Hippel-Lindau disease)という、色々な臓器に良性・悪性腫瘍が発生する希少疾患などが指摘されています。